👉 第1話はこちら:【実録①】英語ゼロでもマルタ移住に成功!寿司職人として働き始めたけれど…
海外で働くという夢を叶えた私。
けれど、その現実は想像よりもずっと厳しいものでした。
今回は、海外での職場で直面した孤立、パワハラ、そして辞めると決断するまでの過程を包み隠さずお話しします。
「日本人だから優遇されている」…その誤解で職場では完全に孤立
マルタの寿司レストランでは、中国、フィリピン、ネパールなど多国籍なスタッフが働いていました。
その中で私は、日本人というだけで「寿司のプロ」「待遇がいい」と誤解され、誰からも話しかけられず、挨拶をしても返ってこない日々が続きました。
会話に混ざることもできず、ランチ営業の静まり返った厨房で、ただただ黙々と仕事をするだけ。
誰とも交わらず、心がどんどん摩耗していきました。
パワハラ、怒号、そして体に現れたストレスの兆候
先輩シェフからはたびたび客前で怒鳴られ、包丁をまな板に叩きつけられることも。
マネージャーからは無言で作業を監視され、私の作業に一切声をかけず、睨むように見下ろしてくる。
毎日、胃がキリキリと痛み、ついには蕁麻疹が体中に広がりました。
ボスからは「このままだとクビだぞ」と脅され、朝起きるのも怖くなるほど追い詰められていきました。
挨拶すら小声しか出なくなり、心がすっかり壊れていくのを感じました。

辞めたい。でも、辞められないーー契約とプレッシャーの現実
本当はすぐにでも辞めたかった。
でも契約書には「契約期間中辞めた場合は罰金を科す」と書かれていたため、躊躇していました。
実際はマルタの法律では雇用開始から6か月以内なら、雇用主・従業員どちらも自由に契約を終了できるのです。
私はその制度を知り弁護士にも相談して、ぎりぎりの試用期間が終わる最後の週に辞意を伝えることができました。
しかし、そこで待っていたのは、さらなる圧力と罵倒でした。
ボスは「裏切り者」「仕事を全うしろ」と激昂し、顧問弁護士を同席させて辞意を撤回させようとしました。
けれど、これは法律で認められている行為。
試用期間内に辞めれていなかったと思うとゾッとします。
✅ 知っておきたい:マルタの試用期間ルール
・6か月以内はどちらからでも即時退職可能
・それを過ぎると、退職手続きに厳格なルールが適用される
→ 詳しくは:Jobsplus(労働局)公式サイト
「見ていてくれる人は、ちゃんといる」その一言に救われた
そんな中、ある日突然、別店日本人シェフが私を訪ねて来ました。
「君、大変だって聞いたよ。でも…本当によく頑張ってるね」
この言葉に、私は思わず泣いてしまいました。
孤独でも、誰かが自分を見てくれている。そう思えただけで、心が少しだけ軽くなった気がしました。
また、ある日一人でランチ営業を任された際、過去最高の売上を出したことがありました。
その瞬間、「私は無力じゃない」と初めて実感できたのです。
海外で働く人へ:孤立したときに頼れる場所はある
私のように、現地で精神的に追い詰められたり、労働トラブルに巻き込まれたときは、以下の機関を頼ってください。
🔹 Jobsplus(マルタの労働相談窓口)
→ https://jobsplus.gov.mt/
🔹 在マルタ日本大使館
→ https://www.mt.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
🔹 SNSや日本人コミュニティ(Facebookグループなど)
→ 孤立を防ぐための情報交換の場として活用できます
再出発のきっかけは「偶然の出会い」だった
辞めた直後は不安でいっぱいでしたが、**言語アプリ「Bumble」**でマルタ在住の日本人女性と知り合ったことが転機になりました。
彼女の紹介で新たな職場を見つけ、第二のスタートを切ることができたのです。
まとめ:夢を叶えたその先に待つ、現実との向き合い方
海外で働く夢は確かに叶いました。
でもその裏には、孤独や誤解、パワハラ、精神的な疲弊がありました。
それでも私は、自分で限界を知り、道を切り開くことができた。
この経験は、何ものにも代えがたい「強さ」になりました。
👉 次回(第3話):【実録③】逃げたその先に見えた「本当に働きたい職場」の見つけ方(準備中)
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